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machi column

VOL.03 「住みつづけられる町ヘ」

一昨年の暮れ頃、府中にお住まいの初老の御夫婦から一枚の葉書が事務所に届いた。
定年退職後に、気候のよい豊橋で余生を過ごすつもりで十数年前求めた豊橋郊外の土地を手放したいと言う由、お二人とも生まれ故郷の豊橋に住もうと思ったけれど、都会へ出て50年、周りの人々とも離れがたく、市の福祉行政もしっかりしていて安心だし、田舎で畑仕事もと考えていたが、体もかえって弱ったりしたら、もしかしたら、今住んでいる都会のほうが子供のいない自分たちの暮らしは楽ではないかと考えるようになったというお話。

一度、府中のお宅へ伺ったら駅から5分くらいの住宅地の中で、買い物はこのお店でして、たまには電車に乗って新宿にも遊びに行くのよと私を迎えに来ながら、道々、今の便利な生活を楽しそうにお話してくださり、なるほど、歩いて暮らせる町でした。

そういえば、私たちの家の周りも若い人たちは、郊外へ家を造って出てしまい、住みつづけているのはご老人ばかりになって来ました。住み慣れた土地で、気ままに暮らす明るい老人たちを見ていると、八幡様の15の市で野菜や果物を買い、新鮮でおいしい魚屋さんでお刺身を買い、多少の日常雑貨はコンビニと、うまく暮らしている元気な老人たちの暮らしはなかなか素敵、こんな街中の暮らしこそ、私たちが年を取って、車に乗らなくなっても住みつづけることができる暮らしではないかなと思う。
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